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本記事の内容
・蓄電池のメリット・デメリット
・蓄電池の選び方
・蓄電池メーカーごとのおすすめ機種比較
・蓄電池の寿命
・蓄電池の価格
・蓄電池の補助金
この記事を書いた人
わたしは省エネリフォーム会社で勤務経験があり、太陽光や蓄電池の営業などを行っていました。
そのため、蓄電池のメリットだけではなくデメリットについても十分理解しています。
下に目次を作っておりますので気になるところからご覧ください。
蓄電池のメリット・デメリット
蓄電池のメリット① 電気代の削減
蓄電池の導入を検討される方のほとんどが太陽光との組み合わせを考えていると思います。
太陽光と蓄電池を組み合わせることで、日中は太陽光で発電した電気を使い、なおかつ余った電気は蓄電池に充電。夜間は蓄電池に充電した電気を使うことでエネルギーの自給自足ができます。
また太陽光が何らかの事情により設置できない方でも、電力会社の料金プランをかしこく利用し、割安な夜間時間の電気で蓄電池に充電し、割高な昼間時間の電気は蓄電池からの電気で賄うといった使い方もできます。
そして蓄電池には上記のような複数の運転パターンを簡単に設定できる機能が備わっていますので、ご自身の環境などにあわせて利用することで電気代を大幅に削減することができます。
蓄電池のメリット② 災害時の備え
日本は世界有数の災害大国といわれています。地形、地質、気象条件などにより、地震や台風が発生しやすく、世界的な異常気象による影響も増えています。
直近では下記に示す通り最長で35日もの停電が発生しています。
特に小さなお子様やお年寄りがいらっしゃるご家庭では、もしもの際の非常に心強い備えとなることでしょう。購入する蓄電池の容量にもよりますが、太陽光と蓄電池があれば半永久的に電気を使い続けることができます。
蓄電池のメリット③ パワーコンディショナーを新しくできる
太陽光で発電した電気は、パワーコンディショナーと呼ばれる装置で電気を変換し自宅で利用しています。
太陽光パネルの期待寿命は20年~30年とされていますが、パワーコンディショナーの期待寿命は10年~15年ほどと言われています。
後段で説明しますが、蓄電池によっては太陽光と蓄電池のパワーコンディショナーが兼用のタイプがあります。
そのため太陽光を設置して10年がたち、卒FITを迎え売電単価が一気に下がってしまうタイミングで兼用タイプの蓄電池を購入することは、パワーコンディショナーを新しくすることができる、非常に理にかなったいいタイミングなのです。
蓄電池のデメリット① 導入費用がかかる
選ぶ蓄電池にもよりますが、そのほとんどが100万円以上の費用がかかります。
蓄電池の導入によって電気代の削減は可能ですが、2022年現在の蓄電池の販売価格を考えると、10年以内に元をとることは難しいケースが多いです。
電気代の削減効果と導入費用を比較して経済メリットが出るケースとしては、卒FITを迎え太陽光の売電単価が下がってしまった方、10年以上長く使い続けることができた方、補助金を利用できた方などに限られてきます。
蓄電池のデメリット② 設置場所の確保が必要
家庭用蓄電池の目安のサイズは、幅:約80cm、奥行:約40cm、高さ:約100cm程度です。
また設置場所は直射日光が当たらない、高温多湿な場所を避ける必要があります。
蓄電池を長く使い続けるためには設置場所の十分な検討が必要です。
蓄電池のデメリット③ 太陽光の売電単価が下がる可能性がある
太陽光が2018年以前にFIT認定されていて、かつ選ぶ蓄電池や設定によって「ダブル発電」となってしまった場合、売電単価が下がってしまいます。
ダブル発電とは太陽光を蓄電池やエネファームなどの創エネ機器とを同時に運用することを言います。
ダブル発電では創エネ機器からの電気を自家消費分にあて、自家消費が減った分、太陽光の売電量が増える(押し上げる)ことになり、これを「押し上げ効果」と言います。
固定価格買取制度は、再生可能エネルギーの普及を目的としています。
一方でダブル発電による押し上げ効果がある場合、ガスから発電するエネファームなどの電気を、太陽光と同様の価格で間接的に買い取ってしまうことになります。
その対策として、ダブル発電と認定された太陽光については、通常の売電単価に比べ平均して約20%程度安い単価で買い取りされることとなってしまう可能性があるのです。
なお、2019年度以降にダブル発電に認定されたケースにおいては、太陽光発電のみを使用しているシングル発電と比べて売電価格の差はありませんので心配ありません。
これは近年売電価格が下がってきていることで、ダブル発電による押し上げ効果を考慮しても不公平感が少ないことが影響したと言えます。
蓄電池の選び方
蓄電池の選び方については以下の4つのポイントで選ぶと良いです。
- 機能で選ぶ
- 容量で選ぶ
- 価格で選ぶ
- 太陽光との相性で選ぶ
順番に解説していきます。
機能で選ぶ
単機能型とハイブリッド型
単機能型
単機能型は今の太陽光のパワーコンディショナーとは別に蓄電池のパワーコンディショナーを設置する必要があります。
しかし太陽光のパワーコンディショナーを変更する必要がないことから、太陽光と蓄電池のメーカーを揃える必要がありません。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は太陽光のパワーコンディショナーと蓄電池のパワーコンディショナーが兼用になっているものです。
そのため、パワーコンディショナーを新しくできるという利点がある一方で、太陽光との組み合わせが限られてくるケースがあります。
単機能型の特徴 | ハイブリッド型の特徴 |
×パワーコンディショナーは太陽光と蓄電池それぞれ一台ずつ 〇他メーカーの太陽光とも親和性が高い 〇比較的価格が安い |
〇パワーコンディショナーは太陽光と蓄電池兼用で一台 〇電気の変換回数が少なく効率が高い ×比較的価格が高め |
全負荷型と特定負荷型
全負荷型
停電時に家中の電気を使用できます。
そのため、必要以上に電気を使用してしまう可能性があるため、蓄電池の残量管理が必要です。
特定負荷型
停電時に一部の電気しか使用できません。
限られた中で電気を使用する分、蓄電池の長時間の使用が期待できます。
全負荷型の特徴 | 特定負荷型の特徴 |
〇停電時に家中の電気を使用できる。 ×比較的価格が高め。 |
×停電時に一部の電気しか使用できない。 〇比較的価格が安い。 |
容量で選ぶ
蓄電池の容量は一般的に5kWh~15kWh程度です。
蓄電池の容量がどれくらい必要かは、自家消費を考えるのであれば、電力会社への日々の売電量で選び、災害の備えを考えるのであれば、1日に使用したい電気の総容量で選ぶと良いです。
なお、15kWhの蓄電池の場合、災害時に最低限必要だと思われる、携帯電話(10W)、テレビ(120W)、冷蔵庫(65W)、LED照明(50W)の使用で約2日間程度の電気を使用することができます。
価格で選ぶ
2022年現在の蓄電池の価格相場としては、約80万円〜200万円が相場です。
容量が5kWh程度のものであれば、100万円以下でおさまる可能性が高いです。
価格の傾向としては下記の通りです。
ハイブリッド型>単機能型
全負荷型>特定負荷型
容量が大きい>容量が小さい
太陽光との相性で選ぶ
基本的には単機能型の蓄電池であれば、太陽光との組み合わせは自由です。
一方でハイブリッド型の蓄電池の場合、太陽光とパワーコンディショナーを兼用することから、組み合わせが限られてきます。
設置ができたとしても太陽光の保証が切れてしまう場合や、PID対策(太陽光の性能劣化現象対策)をしていない太陽光の場合、性能劣化が起きてしまう可能性もあります。
特にPID対策については、PID対策品かどうかを確認しないまま販売・施工している業者がとても多いので注意してください。
蓄電池メーカーごとのおすすめ機種比較
各メーカーのおすすめ機種については下記の通りです。
蓄電池の寿命はどれくらいか
蓄電池の寿命の目安
蓄電池の寿命は使用する環境や状況、保守条件など様々な要因によって左右されますが、一般的に15年~20年くらいが目安と言われています。
なお、蓄電池の容量と寿命には相関関係があり、容量が大きいものほど寿命が長くなる傾向があります。
これは容量が大きい蓄電池は1回の充電で長時間使えることで、サイクル数(後段で説明)が減少するためです。
蓄電池の寿命を表す単位
蓄電池の寿命を表す際は「サイクル数」が多く用いられます。
サイクル数とは、充電から放電までを1サイクルとして、何回このサイクルが可能なのかで蓄電池の寿命を表します。
1日1サイクルと考えると、10年で3650サイクルとなり、現在蓄電池を発売しているメーカーのサイクル数を見ると、6000~12,000サイクルとなっていますので、これが一般的に15年~20年くらいが寿命の目安と言われている所以です。
蓄電池の寿命を縮める使い方
蓄電池は設置場所によって寿命を縮めてしまいます。
具体的には直射日光が当たらない、高温多湿な場所を避ける必要があります。
設置場所が悪いと過充電や過放電により蓄電池の劣化が進みます。
また設置場所が良くても、過充電や過放電を防ぐために、充電や放電はこまめに行うことがおすすめです。
放電量の多さ(放電深度)が深いほど寿命が短くなるという特性を蓄電池はもつため、蓄電池の残量を50%程度で充電させれば、規定のサイクル数以上に長く利用することができます。
蓄電池の価格は今後安くなるのか
蓄電池の価格は下落傾向です。
とは言え冒頭でもお伝えしましたが、そのほとんどが100万円以上の費用がかかり、2022年現在の蓄電池の販売価格を考えると、10年以内に元をとることは難しいケースが多いです。
では今後の蓄電池の価格はどうでしょうか。
これまでは蓄電池の価格は下降傾向でしたが、蓄電池に使用するリチウムイオン電池の需要が増えたことで流れが変わりました。
リチウムイオン電池は、コバルトやリン酸鉄などが原材料となっていて、希少性が高くさまざまな業界で使用されており、今後はEV車などの普及が進むことを考えると、さらなる需要過多を起こすことが予想されます。
そのため、供給以上に需要が高まることで原価の上昇が予想され、今後は蓄電池が安くなるとは考えにくい状況です。
上記理由により、現在の蓄電池の価格は下がりきっていると考えられることから、もう少し待てばもっと安く導入できるのかもとお考えの方は、このタイミングで購入してよいと思います。
蓄電池の補助金はあるのか
蓄電池の補助金は国、都道府県、市区町村で出ています。
補助金を賢く利用することで導入費用を大幅に削減することができますので、自分のお住いの地域の補助金の有無は必ず確認しましょう。
国の補助金
・令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業
・補助金の上限額:3.7万円 / kWh、もしくは5.2万円 / kWh
SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ|公募情報(令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業)
東京都の補助金
・(令和4年度予算及び補正予算)災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
・補助金の上限額:10.0万円/kWh、60万円/戸
(令和4年度予算及び補正予算)災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業|東京都環境局 (tokyo.lg.jp)
東京都の補助金情報については下記の記事で詳しく説明しています。
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神奈川県の補助金
・令和4年度太陽光発電初期費用ゼロ促進事業費補助
・補助金の上限額:補助対象経費の3分の1又は12万円のいずれか低い額
令和4年度太陽光発電初期費用ゼロ促進事業費補助 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)
神奈川県の補助金情報については下記の記事で詳しく説明しています。
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まとめ
本記事では、蓄電池のメリット・デメリットから儲かるかまで、蓄電池の疑問について解説いたしました。
燃料費の高騰による電気料金の値上がり、新築住宅の太陽光設置義務化(東京都)などを受け、近い将来蓄電池の設置も標準的になってくることが予想されます。
蓄電池についてはデメリットもありますが、それを大きく上回るメリットもあるため、まずは経済効果はあるのかなど、見積もりやシュミレーションやとってみることから始めてみましょう。
今回はこの辺にしておきます。
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